バイト先のW君
20年以上も前の話になるが、大学生の頃、新宿の某ボウリング場でアルバイトをしていた。そこに、W君という先輩がいた。大学は早稲田、顔は当時の人気俳優である草川 祐馬に似た感じで、なかなかのイケメンであった。当時、桂三枝が司会の恋ピューターという番組(複数の男が、あの手この手で自己PRし、シンデレラと呼ばれる女性のハートを射止める番組)があり、彼はその番組に出演し、見事にシンデレラをゲットしたのだが、そのシンデレラから惚れられ、ボウリング場に彼女を連れてきていた。TV番組のシンデレラになるくらいだからかなりの美人であったが、W君はシンデレラと適当に遊んだ後、飽きたと言うことで弟に譲っていた。この弟もなかなかのイケメンであり、彼女を弟に譲るというのも変な話だが、そのまま弟と付き合う女の方も???である。
そんな折り、バイト先の仲間と飲みに行くことがあった。すっかり酔っぱらった私は、「W君はイケメンでいいよな」とか「W君は早稲田でいいよな」とか、いじいじしながら自分の人生に対する不平不満を並び連ねていたようだ。それを聞いていた別のS先輩(この方も早稲田)が、「GoMaを俺の下宿へ連れて行く!!」と言って、べろべろに酔っぱらった私は、無理矢理彼の下宿へ連れて行かれた。彼の下宿に着くなり、強姦されるかと思いきや、「この軟弱者め~」と言われ、そのままボコボコにされた。S先輩は早実の野球部出身で体が大きく、喧嘩で勝てるはずもなく、私はなすがままの状態で殴られっぱなしであった。翌日、S先輩は私に謝ってきたが、その一件で私の中から軟弱の虫が消え去り、それからかなり自分に自信を持って生きることができるようになった。今でもS先輩には、こころの底から感謝している。
W君の話に戻るが、そんなイケメンで頭の良いW君は、なぜかそんな私と仲良くしてくれた。私の姿を見ると「お前はださい」といつも言っていたのだが、ある日、「俺の家に泊まりに来い」と言われ、泊まりに行くと彼の服を何着かくれた。「お前はオシャレをすればそれなりのレベルになる素質があるのだから、もっと衣服に気を遣え」と言われ、それからそれなりに衣服に気を遣うようになった。当時はサーファーのスタイルが流行っており、私もプルオーバーやファーラーのパンツなどを買って結構ミーハー路線を歩むようになった。S先輩に根性をたたき直され、W君にはファッションセンスを磨いてもらったわけだ。
そんなW君のことをふっと思い出し、彼の名前をインターネットで検索してみた。彼のことだから、何らかの形で一流になっているのではないか、ネットでヒットするくらいの人材になっているであろうと思ったからだ。検索すると、見事にヒット。某大手のIT企業の優秀セールスマンとして、雑誌に紹介されていた。何と顔写真付き。すげ~。顔写真をみると、やや頭が禿げている。肉付きもやや良くなっている。変わった~。完全に“じじい”だ。あのイケメンだった彼がこんな風になるのだから、まだ禿げていない私などはまともな方かもしれない。今なら勝てる・・・・・・・・・・・・・わけがないか(笑)。それにしても、年を重ねるというのは恐ろしいものである。みんな平等にじじいになったのだ。雑誌に彼の営業に対する考え方が紹介されているのだが、「負ける戦いは絶対にしない。やるからには絶対に勝つ」などと書かれており、当時と全く発言内容が変わっておらず、おもわず吹き出してしまった。
久々にW君に会いたいと思い、彼の会社に電話をしようと思ってネットで検索したところ、会社のHPはあるのだが、電話番号が出ていない。どうも、大手企業は最近、HPに電話番号を出さないようだ。連絡先という項目をクリックすると、電子メールの画面となった。そこには、住所、氏名、年齢、会社名、用件を書かねばならない。「昔の友人である営業のW君から連絡が欲しい」と書くわけにもいかず、彼とコンタクトをとるのを諦めた。
どうしているのかな。頭が禿げても、相変わらず女遊びに興じているのであろうか・・・・
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