« もう一つのジンクス | トップページ | あり得ないできごと@福井 後編 »

2008年9月 9日 (火)

あり得ないできごと@福井 前編

先月、仕事で1年ぶりに福井へ行った。私の高校時代からの友人であるO君が福井で外科医をやっており、彼から我が国における肝臓癌の治療概況について取材するのが今回の仕事であった。

O君とは同じ高校であり、1年の時に同じクラスであった。その頃から彼は数学が得意で、よく彼から数学を教えてもらった。彼はとにかく根っからの自信家であり、数学の試験の後に「絶対100点!!!」と豪語していたのを鮮明に記憶している。ただ、実際にテストが帰ってくると80点ということが多々あった。要するに、おっちょこちょいなのである。現在、オペ後に「絶対上手くいった」と豪語し、その後患者が急変なんて事態が度々起こっているのではないかと心配になるが、今や副部長という職責についているのだから、すっかりおっちょこちょいは治ったのであろう。

福井の駅で待ち合わせをして、そのまま彼の病院へ行って仕事に協力してもらった。3時間くらいかかったが、嫌な顔一つせず、私のインタビューに応じてくれた。持つべきものは友である。その後、彼と福井の街をプラプラと歩き、夕方になったので料理が美味しそうな飲み屋に入った。初めは「いつ病院から緊急の呼び出しがあるかわからないから」と言ってお酒を飲まないでいたのだが、無遠慮にお酒を飲み続ける私の姿と、高校時代の懐かしい話などで盛り上がったこともあり、気がつけば彼も梅酒ソーダ3杯、日本酒2合くらいを空けていた。

携帯電話ができたことで、医者は本当に大変になったと思う。いつ、病院から緊急な呼び出しがあるかわからないわけであり、ほとんどお酒を飲めないようだ。携帯電話が無い頃は、連絡のとりようがないため、病院を出ればゆっくりお酒を飲めたが、携帯電話のせいで常に病院から連絡を受けられる状況にあり、気持ちが休まる時が無いとのことである。確かに大変である。

10時くらいに切り上げ、私は駅前のホテルへ向かった。O君はホテルの近くまで送ってくれ、そこでまた立ち話になった。気がつけば、夏の暑い中、30分以上も立ち話をしてしまい、そろそろ立ち話を切り上げるかな・・・と思ったところで、O君は急に意識を失い、突然倒れた。崩れ落ちるといった倒れ方ではなく、足を起点にそのまま顔から道路めがけて一直線に倒れたのである。これでもかというくらい顔を道路に打ち付けたため、歯が3~4本くらい折れ、口内が切れ、顔は血だらけになっている。彼の眼鏡は原型をとどめないくらいぐちゃぐちゃになっている。ほんの数分前まで、普通に話していたのに・・・・・・。

慌てたなんてもんじゃない。「心筋梗塞かもしれない・・・」「脳梗塞かもしれない・・・・・」。最悪の事態が頭をよぎった。「俺が無理にお酒を勧めたからだ・・・」。やばすぎる。とりあえず、頭を打っていたらまずいので、ゆっくりと彼の姿勢を仰向けにし、とにかく私は彼の名前を叫び続けた。反応が無い。やばい。やばすぎる。この時に思ったのが、人間というのは、いざという時に何もできないということ。こういう場合、心臓が動いているのかを確認、呼吸が止まっていれば人工呼吸、心停止していれば心臓マッサージなどを行う等、救命についての対処法を本で学んでいたつもりだったけど、実際には慌てるばかりで何もできない。ドラマ「コードブルー」で、新人の医者が現場へ行って何もできないというシーンがあったが、慌てるばかりで本当に何もできないのだ。やはり、大切なのは何度も経験を積むことのようだ。

私がO君の名前を叫び続けていると、尋常ではない状況に気づいた若者が、「救急車を呼びましょうか?」と声をかけてくれた。私はすぐに「お願いします」と言い、再びO君の名前を叫び続けた。倒れてから5分くらい過ぎた頃だろうか。O君の意識が徐々に戻りはじめ、彼はうめき声を上げた。「生きてる!!!」。いや~、この瞬間は本当に嬉しかった。そして、救急車が到着する頃には、彼の意識は会話ができるくらいまで回復。救急車が到着し、救急隊が彼の頭を固定し、担架で救急車に乗せた。私は、彼が外科医であることを告げ、彼の勤務している病院へ運んでくれとお願いした。彼の勤務している病院は救急病院であり、すんなり受け入れが決まり、私も同乗して彼の病院へ。気がつけば、私の手は血だらけであった。

つづく

|

« もう一つのジンクス | トップページ | あり得ないできごと@福井 後編 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。