手術2
正直言って整形外科の手術は怖かった。ほとんど大工仕事といった印象があるからだ。トンカチの音やノコギリの音が聞こえるのではないかとドキドキしていた。自分が寝ている頭の後ろに、例の人の良さそうな顔の麻酔科医が付いている。怖さを紛らわす意味からも、麻酔科医の先生と世間話をはじめる。5分くらい談笑していて、ちょっと手術の進行具合が気になったので、先生に訊いてみた。「足、もうメスが入ってるんですか?」。まだ痛くも何ともないから、まだ消毒中くらいかなと思っていた。すると、「もう、折れた骨が見えてますよ」との麻酔科医の声。「ひえ~。早い!!」。ちょっと驚き。それにしても、麻酔というのは本当に素晴らしいものだ。こちらは、上半身が完全に意識があるのに、下半身は全く動かない。全く、痛みがない。「しかし、今、大地震がきたらどうなるんだろう」と余計なことを考えてみたりする。はって逃げる自分の姿を想像しながらも、麻酔という技術のすばらしさにつくづく感心していた。麻酔科医の話では、早い人は1時間30分で麻酔が切れ始める人がいるとのこと。だから痛くなってきたら、言ってくれと言われた。麻酔薬の追加はできないらしく、そうなったら全麻に切り替えるようだ。そして、1時間半が経過。手術は終わりそうにない。「痛みが出てきましたか?」と訊かれる。全く痛くない。自分は、麻酔薬の効きはいいほうのようだ。結局手術時間は3時間。やはり、骨が複雑に折れていたため、つなぎ合わせるのに時間がかかったらしい。3時間たっても痛くない。まあ、特に足の先は、麻酔が切れるのが遅いらしい。これで全麻にならないで済んだ。傷口を縫い合わせて、トンカチの音も聞こえないまま完全に手術は終わった。
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